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サプリメント

サプリメントという概念は、米国において1994年に成立したDietary Supplement and Health and Education Act 略称DSHEA:ドシェ法)により、Dietary Supplement として確立した。Dietary Supplementの対象となるものは、ビタミン、ミネラル、ハーブ、アミノ酸、抽出物、構成成分、代謝産物等の濃縮物である。このDietary Supplementの日本語訳として、「栄養補助食品」という名称が使われているが、栄養補助あるいは栄養補助食品というのは、その日本語の内容から考えれば、人に不足している栄養あるいは栄養素を補給するということであり、ビタミンやミネラルであれば該当するが、ハーブ類等では妥当性がないと考えられ、Dietary Supplementの内容から判断すると、Dietary Supplementそのものの本質は人の健康に資するための様々な有用成分を基本にしているので、「健康補助食品」(偏った食事に必要な栄養成分を補給し、健康の保持増進に役立つ食品)とすることがより適切であると考えられている。このDietary Supplementを簡略化して、サプリメントとも呼んでいる。その後、2002年にヨーロッパではFood Supplementという呼び名で公表し、2005年より施行されている。これら2つの法規制において、サプリメントとは、通常の食品とは形状を異にし、錠剤、カプセル状、あるいは液体、粉末などの形状をとって市場に流通し、通常の食事による栄養成分の摂取を補う目的で、ビタミン、ミネラル、その他の生理学的作用を有する成分を含有する製品と定義されている。

参考文献
1. 信川益明:いわゆる健康食品・機能性食品のヒト試験のあり方.臨床薬理 2006;37, 96-102.
2. 信川益明監修:新よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第4版.三宝社、東京、2006
. 3. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第3版.三宝社、東京、2005.
4. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第2版.三宝社、東京、2004.
5. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-.三宝社、東京、2003.

(信川 益明)

肥満症治療ガイドライン2006

「肥満」の中から、医学的な見地で減量治療の必要な「肥満症」を判別し、疾患単位として捉え、体重減少により疾病予防や改善についながる治療を対象にする。内蔵脂肪蓄積が疾病発症の重要な要因であり、内臓脂肪蓄積を標的とした治療に重点を置いている。この病態はメタボリックシンドロームの根幹であり、リスクの集積に目を奪われるのではなく、その病態成立機序を重視した減量治療を目指す。肥満症にみられる個々の疾病そのものに対する治療ではなく、内臓脂肪蓄積の下流で発症する疾病群を対象に、その予防や改善に減量がいかに効果的かのエビデンスを示す。食事、運動、行動及び薬物療法の各治療技法の方法、適応、成果についての統一見解を示し、具体的な病態改善度を明示する。

(信川 益明)

コラーゲン

コラーゲンは細胞外マトリックスの主成分であり、哺乳動物の場合は全タンパク質の約1/3を占めている最多のタンパク質である。骨、軟骨、腱、皮膚などに存在している。特に皮膚の真皮では、その約90%をコラーゲンが占め、皮膚の弾力性に影響を与えていると考えられている。コラーゲンには分子の形によってⅠ型、Ⅱ型というように十数種類の型が知られており、生体内での分布や働きが異なっている。そのうちサプリメント(健康補助食品)の原料としては、コラーゲンは真皮に多く存在するⅠ型と、軟骨に多く存在するⅡ型が主に用いられている。Ⅰ型コラーゲンは生体内では繊維状の形態で存在しているが、熱水で抽出するとその立体構造が破壊され溶け出てくる。
食品としてのコラーゲンは、動物の結合組織中にあるコラーゲンタンパク質を酸やアルカリ処理によってゼラチンとし、さらにプロテアーゼによる加水分解で低分子化したコラーゲンペプチドを意味する。低分子化される前のものは、いわゆるゼラチンや煮こごりと呼ばれるもので、料理に含まれたり、菓子の原料や医薬品などのカプセル製剤の皮膜として使用されてきた。コラーゲンの合成にはビタミンCの摂取も必要である。多く含む食品としては、とりの手羽、フカヒレ、牛すじ、とり皮などがある。また、ロバ、牛などの皮から加熱抽出したものは、漢方薬の阿膠(あきょう)として古くから止血、鎮静などの目的で用いられてきた。

参考文献
1. 信川益明:コラーゲン経口摂取による体内でのコラーゲン合成促進.日本医醫事新報, 2005:4228,98-99.
2. 信川益明監修:新よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第4版.三宝社、東京、2006.
3. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第3版.三宝社、東京、2005.
4. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第2版.三宝社、東京、2004.
5. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-.三宝社、東京、2003.

(信川 益明)

健康科学

健康はいつの社会でも人間生活の中で重要なキーワードであるが、健康の概念は時代とともに変わってきた。疾病があっても満足して社会生活が送れれば健康であるという考えも現れてきている今日では、疾病の対立概念としての健康から、積極的な健康への取り組みへの転換が求められている。健康の概念の変化は、健康に関する学問領域の拡大を必要としてきたが、健康が広い概念であるため、従来の学問領域では捉えることが困難となっている。
1985年に学問領域の拡大と健康の概念の変化に対応するため、日本健康科学学会が設立され、1999年に日本学術会議登録学術研究団体(予防医学研究連絡委員会)に登録、2005年に日本学術会議協力学術研究団体(第2部生命科学部門)として、科学者に期待される社会的責任を果たしていくという役割を担い今日に至っている。この学会は健康に関連する専門領域の方々や現場において住民の健康を支えている関係者などの健康に興味をもっている方々に、学術大会への参加・活動報告、学会誌Health Sciencesへの論文発表を通じて、健康に様々な角度からアプローチしてもらい、健康を科学的に捉えるとともに、活動経験・研究・教育の情報交換を通じて、異なる専門分野の間のコミュニケーションを活発に行うことを目的としている。医療関係者、社会福祉関係者、行政関係者、体育・運動生理・人文社会科学などの分野の方々、健康・医療・福祉産業に従事する企業・団体、個人、学生などの健康に興味を持っている方々を対象としている。
健康科学は研究や教育の場から必ずしも生まれた学問体系ではなく、日常生活の場から生まれ、人間の生活の営みとともに今を生きているものである。この意味で日常生活を営む住民から乖離して、健康を科学的に捉えることはあり得ない。健康に関する学問が、地域住民の日常生活において活用される環境づくりにも積極的に取り組んでいくことが求められている。

参考文献
1.信川益明:日本健康科学学会20年を振り返る.Health Sciences 2005;21:182-187.
2.信川益明(基調講演):日本健康科学学会の果たしてきた役割とこれから. Health Sciences 20(4) 360-362, 2004.
3.信川益明:日本健康科学学会-過去、現在、未来-.Health Sciences 2000;16:71-76.
4.小島紀徳他編:ごみの百科事典.丸善(株), 東京, 392-393, 2003.

(信川 益明)

健康日本21

健康を実現することは、個人の健康観に基づき、一人一人が主体的に取り組む課題であるが、個人による健康の実現にはこうした個人の力と併せて、社会全体としても個人の主体的な健康づくりを支援していくことが不可欠である。そこで、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」では、健康寿命の延伸等を実現するために、2010年度を目途とした具体的な目標等を提示すること等により、健康に関連する全ての関係機関・団体等を始めとして、国民が一体となった健康づくり運動を総合的かつ効果的に推進し、国民各層の自由な意思決定に基づく健康づくりに関する意識の向上及び取組を促そうとするものである。
平成17年7月11日の厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会で、健康日本21の9分野70項目で重点的に取組むべき目標値を21項目に絞った代表目標項目案が提示された。

参考文献
1. 信川益明(基調講演):健康(日本)21.Health Sciences 2005;21:396-400.

(信川 益明)

健康被害

人間は自然環境ばかりでなく、人工的な環境に囲まれて生活しており、好ましくない環境にさらされることにより、健康に悪影響を及ぼしてきた。自然環境から由来するものばかりでなく、人工的に作り出されてきた環境が、健康に影響を及ぼす新たな問題を発生させてきている。
地球温暖化は、健康、生態系、水資源、農業、森林、都市施設などに悪影響を及ぼす。オゾン層の破壊により、有害な紫外線が増加し、皮膚癌や白内障などの健康被害を発生させている。 光化学大気汚染、窒素酸化物による大気汚染、有害物質(ホルムアルデヒド、ダイオキシン類、アスベスト、カドミウムなど)による大気汚染、騒音(工場・事業所、建設作業、営業、家庭生活などの騒音)、建設作業振動、水環境(水質汚濁)、海洋環境(海洋汚染)、土壌環境(土壌汚染)、地盤環境(地盤沈下)、廃棄物による環境問題においては、多種多様な環境因子が人間に悪影響を及ぼし、種々の健康被害を生じてきている。

参考文献
1.小島紀徳他編:ごみの百科事典.丸善(株), 東京, 394, 2003.

(信川 益明)

健康指標

死亡率、罹患率、治療費、効率などが健康指標として使用されるが、明確な指標ではない。健康は化学的、身体的、生物学的、社会的に回復する能力であるとすると、身体的な機能(見る、聴く、話す、食べる、呼吸する、動く)、心理社会的機能(働く、遊ぶ、考える、育てる、創造する、判断する、指導する)は、健康指標と考えられる。
健康問題を考える際には、プロセス(問題の把握、測定方法・結果、現実の問題と結果の比較・確認、疫学的な検討、治療の方法・実施の検討、予防方法・実施、評価、費用効果、計画)が重要であり、健康指標は健康の測定、評価に不可欠である。

参考文献
1.信川益明:日本健康科学学会-過去、現在、未来-.Health Sciences 2000;16:71-76.
2.小島紀徳他編:ごみの百科事典.丸善(株), 東京, 393, 2003.

(信川 益明)

大豆と大豆(加工)食品

大豆は「畑の肉」とも言われるほど良質の多くのタンパク質と脂質を含んでいるばかりでなく、食品の味と匂いにも関係し、生体防御機能なども含むことから、その価値が注目されるようになってきている。
大豆食品は完熟種子を素材にしたものが大部分である。完熟種子は堅く、そのままでは食べにくいため、加工法が古くから考えられ、豆腐、納豆などの伝統食品として、人類の知恵のすばらしさを今日まで伝えてきている。豆腐、納豆(殺菌しないので生きた納豆菌が生存)、豆味噌(味噌汁は古くから日本の食事を支えてきた主要な副食であり、味噌はタンパク源として重要な役割を持っていた。)、醤油は発酵食品の代表であり、米、魚、野菜を主とする日本人の食生活の調味料として重要な役割を果たしてきている。凍豆腐(タンパク質と脂肪を多く含み、消化がよく、栄養価の高い食品)、湯葉(タンパク質と脂質を多く含み栄養に富む)、きな粉、豆乳、おから、モヤシ(ビタミンCと遊離アミノ酸に富み栄養価が高い)、枝豆が大豆食品の主なものである。
大豆発酵食品である醤油や味噌は、食生活において味付のための調味料として用いられ、日本の食文化における、「旨い」という感覚を育てる役割を担ってきた。この旨味の本体は、大豆の発酵によって生ずるアミノ酸である。このように、大豆は日本人の食文化に大きな影響を与えるとともに、食生活を豊かにし、健康の保持などに貢献してきた。

参考文献
1.信川益明:小さな粒に含まれた 大きな健康パワー …日本人の食生活を豊かにし、健康をささえてきた大豆. 大豆健康食. 朝日新聞社 1998:9.

(信川 益明)

特定保健用食品

特定保健用食品は、健康に良い成分によって体調を整える働きがあることを科学的に証明し、厚生労働省が健康表示などを許可した食品であり、特定保健用食品のマークが付けられる。食品例としては、お腹の調子を整える食品、コレステロールが高めの方の食品、血圧が高めの方の食品、血糖値が気になり始めた方の食品、ミネラル(カルシウム、鉄)の吸収を助ける食品などの590品目(2006年8月30日現在)がある。
血圧関連の成分として各種ペプチド類、コレステロール関連の大豆たんぱく質・ペプチド、中性脂肪関連のグロビンたんぱく分解物、ミネラル吸収促進関連のカゼインホスホペプチド、骨関連の乳塩基性たんぱく質、血糖関連のアルブミン等である。

参考文献
1. 信川益明監修:新よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第4版.三宝社、東京、2006.
2. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第3版.三宝社、東京、2005.
3. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第2版.三宝社、東京、2004.
4. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-.三宝社、東京、2003.

(信川 益明)

特別用途食品

特別用途食品は、栄養成分を調製して、食事を必要とする人や健康上、特別な状態にある人が、健康の維持増進に利用するための食品として表示を許可された食品であり、特別用途食品のマークが付けられる。特別の用途に適するという表示を許可した病者用(低ナトリウム食品、低たんぱく質食品など)、乳児用(調製粉乳)、妊産婦用(粉乳)、高齢者用(咀嚼困難者用食品など)の488品目(平成18年3月31日現在)の食品が許可されている。

参考文献
1. 信川益明監修:新よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第4版.三宝社、東京、2006.
2. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第3版.三宝社、東京、2005.
3. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第2版.三宝社、東京、2004.
4. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-.三宝社、東京、2003.

(信川 益明)

栄養機能食品

栄養機能食品は、身体の健全な成長、発達、健康の維持に必要な栄養成分の補給・補完を目的とした食品である。高齢化、食生活の乱れなどにより、通常の食生活を行うことが困難であり、1日に必要な栄養成分を摂取できない場合に、その補給・補完のために利用して頂くものである。当該食品と称して販売するには、食品衛星法施行規則および栄養表示基準(告示)の規定(栄養改善法)に適合していなければならない。1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量の上・下限値の規格基準に適合し、定められた栄養機能表示や注意喚起表示等を表示することになっている。ただし、これらの規格基準に適合していれば、国への許可申請や届出は必要なく、自由に販売できる。
栄養成分量の上・下限値の規格基準が設定された栄養成分は、ミネラル5種類(カルシウム、鉄、亜鉛、銅、マグネシウム)、ビタミン12種類(ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、葉酸)である。

参考文献
1. 信川益明監修:新よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第4版.三宝社、東京、2006.
2. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第3版.三宝社、東京、2005.
3. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-第2版.三宝社、東京、2004.
4. 信川益明監修:よくわかるサプリメント-医者と患者のための完全マニュアル-.三宝社、東京、2003.

(信川 益明)